2010年9月10日〜12日 屏風岩 東壁 雲稜ルート

9月9日 8時岡山出発〜

10日  6時20分 アカンダナ駐車場を出発〜7時 上高地着 ゆっくり歩いて横尾に到着11時
     渡渉地点確認 18時には就寝

11日  3時起床 4時10分テントを後にする。〜T4尾根取りつき6時40分〜雲稜ルート取りつき7時30分
     2ピッチ目10時〜扇岩10時35分小休止〜3ピッチ目登攀開始10時40分〜4ピッチ目13時30分
     最終地点15時15分着〜屏風の頭 16時50分〜涸沢着18時30分〜横尾着21時

12日  10時半のバスで上高地発 岡山着19時ころ

急なお誘いでしたが、登ってみたかった屏風ですから、体調が良ければぜひご一緒したいと快諾。
夜走りになりますが、10日は横尾までが3時間の行程ですから、特に支障なし。



10日
朝の上高地。 清々しい空気の中、重いザックを背負い横尾に向けて出発 




横尾到着、休憩の後渡渉地点確認に。屏風岩がそそり立つ






水量は少ないと U山さんの言葉。上で見るより、降りてみるほうが深く、流れが急だ。
この日は早々に夕食を済ませ、明日に備え就寝。
満天の星に、期待をふくらませる。



11日3時起床。朝食はフランスパンとソーセージ。
まだ暗い4時過ぎヘッドランプを付け、渡渉地点から1ルンゼ押し出しを登っていく。
渡渉は水が非常に冷たいと聞いていたので、沢登り用の靴下、ネオプレーンを装着
おかげで、全く冷たいと感じなかった。
そろそろヘッデンも必要なくなり、周囲が明るくなる。

T4尾根取りつき お盆の直後は雪渓が残っていたらしいのだが、全てなくなっていた。
ひどかったのは「ブト」払っても払っても、しつこくまとわりついてくる。
通常の虫よけスプレーは効かないんだそうで、ブト専用のがあるらしい。
写真はT4尾根1ピッチ目

1ピッチ目2ピッチ目 あとコンテ、全て思った以上に難しかった。
舐めたらいかんぜよ〜

登り切って雲稜ルート 取りつき地点に着いた時は 息が上がっていたような。



雲稜ルート1ピッチ目 7時半登攀開始。順調に登るも、写真のあたりで停滞。
うーん 難しいのかなぁ 狭い岩の間をどうやって通過するか思案どころだった。
大凹角を抜け右上、テラスでビレー。


2ピッチ目確保地点。ここからはピナクルを目指し右上するわけだが、
通過できそうなバンドはあっても、手が届く支点がない。
ボルトはやや直上し、ピナクルに向けてトラバース。
ここで、出だしが難しく、カラビナがはずせずピーンチ。残置したくない。
無理な姿勢でやっと手が届いたものの、今度は体勢を立て直せず冷や汗ものだった。
U山さんも、このピッチはかなり時間を費やしていた。
実はビレーポイントからは先が見えない。 どうなっているのかさっぱり分からず。



やっと扇岩テラスに到着、緊張が解け、くつろぐ一瞬だ。10時35分。
小休止ののち、核心部であるアブミルートに挑戦。



扇岩テラスの左右、木の葉がひらひらと空中を舞っていたのが 印象的。



10時40分 登攀開始。上を見上げると暑いし、眩しくて目が明けていられない。
が、Uさん丁度3分の2ほど登ったあたりで12時となり、岩場は日陰になる。

ピンも残置の細引きもかなり古く、慎重に登攀。一番時間を要したピッチだ。
落ちると加重のショックで、どこまで墜落するかわからない。

ハング手前を右のくぼみでビレーしてくださった。U山さん、セカンドは落ちても
大丈夫だから、心配しないで登ってこーい。って、早く登れってことね
とは言っても、やはり古い残置細引きは気持が悪い。
慎重にかつ、なるべく早く登攀。 新しい細引きがあったものの、
古い細引き、ワイヤー、伸びたリングと、まともなものはほとんどない。




4ピッチ目 確保地点。(下を見る)アブミ登攀も終わり、細いバンドをトラバース。
このバンドがかなりいやらしく、ハングしている天井はぼろぼろで 支点は足元。
微妙なバランスで、蟹の横這い状態。(ザイルワークに注意)
ここでもハプニングがあり、私は冷や汗タラタラ。



バンドの先は、いよいよ待ちに待った東壁ルンゼに突入。
あぁ やっとこれで終了だぁ。何でもありで どんどん高度を稼いでいく。
U山さんも快調に飛ばしていく。
見た目より、変化のあるコース。もう最後辺りかと思うと気持も弾む。

 


さて いよいよ最終ピッチ。簡単そうに見えるのだが、左の岩群が濡れていて滑る。
途中足が滑り、転倒一段落ちた。上で確保がなければもっと落ちていたかも…
気を抜かないように慎重に慎重に。



やっと登攀最終地点到着 15:15 本当にお疲れさまでした。
登攀用具をしまい、靴もはきかえ樹林帯をトラバースしながら登っていく。
見かけは何気ない山歩きのようだが、急峻な斜面に木や草が乗っているだけ。
岩場とほとんど変わりない。木や草がなければ、ノーザイルではとても歩けないだろう。

東稜ルート登山道合流地点までは 一歩足を滑らすとどこまで滑落するかわからない、
こんなおそろしい悪路が続く。慎重に慎重に歩を進める。



屏風の頭に到着。16:50 眼下に涸沢が見える。
近そうなのに・・・遠いんだなぁ 
涸沢到着したときは18時半 もう真っ暗だ。30分ほど休憩しビールで乾杯。

雨もぽつぽつ降り出し、横尾へと急ぐ。
ただ黙々と歩き、横尾に着いたのは9時。
遅い夕食を口にし、ちょっと横になったら、もう動けない。爆睡してしまった。

12日 日曜日は深夜から雨が降り出し、朝5時ごろも雨音が激しかった。
もう少し寝ていてもいいよ、との言葉に甘え、6時ころまで横になる。雨も小ぶりになり
テントを畳み、いざ出発。U山さんは晴れ男だそうで、以後雨に合うことはなかった。

登攀当日は我々だけ、貸し切り状態。
お天気とよいパートナーに恵まれ あこがれの屏風岩を完登できた。
水は3Lほど持って行ったが、消費したのは1.5Lほど。
ハイドレーションシステムはいいですね。いちいちザックから出す手間も省け 時間短縮。
少量ずつ水分補給するほうがいいようです。

U山さんの奮闘ぶりに、心から拍手を送りたいと思います。何といっても、初めての雲稜ルートを
リードしたのですから。おめでとう! そして ありがとうございました。
次回はもっと早く 登攀できますね。

私にとっても、とても素晴らしい経験となりました。感動を共有出来て良かった。
2010年の夏も、刺激的に終りました。


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